広告主向けに追跡ツールなどを提供するトレードデスクは生き延びているが、「クッキーモンスター」の影からは逃れられない。グーグルが24日、サードパーティークッキーの廃止を延期する計画を発表した。これを受け、トレードデスクの株価は16%高となり、他のいわゆるアドテク(広告テクノロジー)企業の株価をけん引した。しかし、グーグルが3月初めに当初の計画を発表する前の水準に戻るには至らなかった。グーグルが来年初めまでにクッキーを段階的に廃止する方針を発表したことを受け、トレードデスクは2日間で時価総額の約20%を失った。グーグルの今回の変更はトレードデスクにとっては朗報だ。だが、市場のこの露骨な反応には、トレードデスクが巨大ライバル企業の気まぐれに大きく影響されやすいと見られていることに変わりないという事実が反映されている。広告テクノロジー企業のトレードデスクは、インターネット上で他社の広告購入を支援することにより、独自の強力なビジネスを構築した。直近12カ月間の売上高は9億ドル(約995億4000万円)に迫り、現在も2桁台の力強い成長を遂げている。同社のビジネスの大部分は、コネクテッドテレビなど、グーグルが支配する検索システムの外側にあるプラットフォームで行われている。ただ、デジタル広告ビジネスは非常に「大きな池」(市場調査会社イーマーケターの推計によると、2020年の世界市場は約13%伸び、3780億ドル規模)であり、その池で突出して最大の魚がグーグルだ。グーグル親会社アルファベットの広告収入は年間1580億ドル弱に達している。