カナダの研究者の発表によると、英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンを接種した一部の人の血液で、主要な抗体が標的とする少数のアミノ酸が特定された。ワクチン接種に関連付けられる血栓の原因を巡り、新たな手掛かりが示されている。
マクマスター大学(オンタリオ州)の研究チームによるこの研究(査読付き)は、科学誌「ネイチャー」のオンライン版で7日に発表された。こうした研究結果は、免疫反応で引き起こされる凝血と血小板の減少による異常な血栓形成について、医師が迅速に検査し治療するのに役立つ可能性がある。
研究ではアストラゼネカのワクチンを接種した人の血液サンプルを分析。ヨーロッパやその他の地域で行われた、ワクチンに関連するまれな血栓を巡る最近の研究をベースにしている。保健当局者はこうした希少な副作用について、新型コロナとの闘いで証明されたワクチンの価値とのバランスを注視している。科学者の間では、血栓はワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)とも呼ばれ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のコロナワクチンとの関連性も指摘されている。
まれなケースではあるが、政府集計によると、英国、欧州、米国で計170人以上がワクチン接種後にこうした症状で死亡している。研究者や医薬品規制当局によると、その多くはワクチン接種前には健康に見えた若い成人であったという。