コロナとの共存、米が挑む「新常態」Photo:George Rose/gettyimages

 米国の新型コロナウイルス流行は、ワクチン接種が進み人々が通常の生活に戻る新たな段階に入りつつある。公衆衛生当局者は、米国人が長期的に消えることのないコロナウイルスと共存していく準備を整えている。

 医療関係者は、集団免疫に到達するにはかなりの時間がかかると考える。米国内のワクチン接種率に大きなばらつきがある上、感染拡大を効果的に食い止めるのにどの程度の流行抑制が必要なのかが不明なためだ。

 そこで、代わりにコロナ感染を対処可能な病気にすることを重視し、厳重な監視や、人口の一部しかワクチンを打っていない地域での感染流行に対する迅速な対応といった措置を取ろうとしている。将来の感染拡大を抑えるため、マスク着用やソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)も再導入される可能性があると医療当局者は語る。

 米疾病対策センター(CDC)でコロナ対応の最高医療責任者(CMO)を務めるジョン・ブルックス氏は「過去の経験からすると、この病気と共存する新常態も見つかるだろう」と述べた。「問題は、その新常態がどのようなものになるかだ」

 データによると、米人口の約44%がワクチン接種を完了している。1日当たりの新規感染者数と死亡者数の平均は、感染拡大が発生して以降で最低の水準まで減少している。州の規制が解除され、人々はマスクを着けなくなりつつある。レストランや空港、スポーツ競技場は再び混雑する一方、ワクチンはコロナ感染による死亡リスクが最も高い高齢者の保護に役立っている。