レビュー
「ライフシフト」という言葉は、最近日本でもよく聞かれるようになった。2016年、『ライフ・シフト』(リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著)の出版によって広く知られることとなったこの言葉は、人生100年時代の到来を告げるとともに、一人ひとりの生き方に変化を起こす必要があると説き、社会にインパクトを与えた。
著者、尾石晴(ワーママはる)氏もまた、その理論に影響された一人で、日本においてどのようにライフシフトを実現できるか、試行錯誤を重ねてきた。そうして培ってきた経験や知識、知恵を体系化し、「これからの人生をライフシフトするための習慣術」をテーマにまとめたのが本書『ワーママはるのライフシフト習慣術』なのだという。親やビジネスパーソン、音声メディアのトップパーソナリティなど、複数の顔を持つ著者は、忙しい毎日の中でどのように時間を捻出し、どのように自分の人生をとらえ直したのか。その答えが、本書には余すところなく書かれている。
これからの時代、多くの人にとって、仕事は人生の中心ではなくなっていく。子育てなどで働き方を変える必要性に迫られたビジネスパーソンは、定年を待たずして一足先にその考えにシフトできる点で、チャンスを得たことになると著者はいう。このタイミングで体得した時間の使い方や思考法は、一生ものになるはずだ。子育て中のワーキングマザーだけでなく、共働き家庭の男性や将来家庭を持ちたい人も、一読の上、これからの人生を考える機会としてほしい。(菅谷真帆子)