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ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本は対露制裁に加わった。しかしその一方で、サハリン2からのLNG調達は維持されている。制裁に参加しながらロシアとのエネルギー取引も続ける――この一見矛盾した状況は、日本に何をもたらしているのか。現実の選択の中で浮かび上がる、その意味を考える。※本稿は、東京大学先端科学技術研究センター准教授の小泉 悠『現代戦争論――ロシア・ウクライナから考える世界の行方』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
敵の血を流す
「平和主義」とは
筆者が問いたいのは、「平和主義」をどのように定義するのかである。
あらゆる戦争に関与しない、交戦国のどちらにも与しないというのも、ひとつの平和主義であろう。
だが、それは、目の前で起きている侵略やその中で死んでいく人々を見殺しにするということでもある。
ウクライナの団地に爆弾を落としに来る戦闘爆撃機を、日本製の防空システムが撃墜することは是か否か。ロシアのパイロットを殺してでも民間人を爆弾から救うことと、誰も殺さないでその結果起こる死を受け入れることは、どちらが道徳にかなうのか。
明確な答えはない。しかし、筆者は前者の立場に立ちたい。
ウクライナの経験は、日本にとっても重要な教訓となる。ひとたび抑止が破れた後に残るのは、主権の放棄にも等しい理不尽な要求を飲むのか、多くの国民が命を落とし続けることと引き換えにあくまでも抵抗を続けるのかのどちらである。
この極めて不愉快な二者択一を、日本はなんとしても回避せねばならない。







