国会議事堂Photo:PIXTA

近年、日本の政治が「右傾化している」としばしば指摘される。しかし、その変化は単純ではなく、新たな右派勢力の台頭、さらには有権者の関心とのズレなど複数の要因が絡み合っているという。社会学者の松谷 満氏が、変化の構造を読み解いていく。※本稿は、中京大学現代社会学部教授の松谷 満『「右派市民」と日本政治 愛国・排外・反リベラルの論理』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

自民党の「右傾化」を
止めていた存在とは?

 現在、国や伝統をことさら強調するような右派政治勢力はどの程度の広がりをみせているのでしょうか。多くの研究で、政治の「右傾化」は明確だとみなされています。具体的には、2000年代後半以降、自民党議員を中心により右寄りの政治家が増えているといった変化が確認されています(1*)。

 その背景としては野党との差異化があるとされますが、自民党内で右派を抑止する力が著しく弱まっていることも影響しているのかもしれません。以前は、リベラル派、穏健派と称されるような重鎮が一定の歯止めとなってきました。たとえば、加藤紘一、河野洋平、古賀誠、野中広務、宮澤喜一などです。そうした歯止めが失われた結果、「声の大きい」右派政治家の強硬な意見が影響力を持ちやすくなっている可能性があります。

 自民党の「右傾化」を長期にわたった第2次安倍政権と結びつけて考えることもできますが、それ以前の野党時代からすでに「右傾化」は始まっていました。

(1*)…谷口将紀『現代日本の代表制民主政治 有権者と政治家』東京大学出版会、2020年、第3章