インド・ニューデリーで暮らすアナンド・シンハル氏は、13歳のときから自宅の寝室でフリーランスのプログラミングの仕事を請け負い、5万ドル(約550万円)を貯蓄してきた。米国でコンピューター・サイエンスの修士号を取るという夢をかなえるためだ。そのお金は5月19日に7分間で消えた。世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所「バイナンス」のサイトは、ビットコインやその他の暗号資産の相場が急落した際、1時間以上にわたって凍結された。暗号資産の上昇を見込み、レバレッジをかけた取引をしていたシンハル氏などの利用者は、サイトから締め出された。損失が急激に膨らむ中、バイナンスは追加証拠金を徴収し、利用者の持ち分を清算した。シンハル氏は、5万ドルのほか、それまでの取引で得た2万4000ドルも失ったという。