政府債務拡大の30年を
直視する必要
誤解がないように言っておくなら、筆者は「財政規律の維持」が何か絶対的に正しい価値であるということを殊更に強調するつもりはない。
ましてや、今回のコロナ危機のような異例の経済危機に際して、一定の財政政策が必要なことは言うまでもないことだ。
しかし、「バランサー」なき民主主義というものがどういう帰結に至るのかという純粋な政治論として、この30年間にわたる日本の状況は懸念されるべきものではないか、という気がどうしてもしてしまう。
日本の政府債務拡大の歴史は、まさに政治におけるこの「バランサー」の喪失の歴史そのものなのではないか。
経済政策には、それがどんな良策であるようにみえるものであっても、必ず「効果」と「副作用」がある。政治における「バランサー」の役割は、ある意味でその「副作用」が想定外に大きな影響(ネガティブな方向での)を経済や市場に及ぼすことを回避するよう留意する立場と言ってよいだろう。
これから策定されるとされる新たな経済対策策定やコロナ後の経済政策運営で「バランサー」の要素が多少なりとも見られてくるのかどうかを注視したい。
(SMBC日興証券チーフ金利ストラテジスト 森田長太郎)



