新型コロナウイルス感染症の流行下で、ジェイコブ・ホイルのオリンピックはささいな窃盗から始まった。  コロナがまだ目新しく、ロックダウン(都市封鎖)が始まったばかりの頃、米国のフェンシング選手であるホイルは、ただトレーニングを続けるだけでも基本的な道具が必要だと気づいた。結局、最善の選択肢は自分の所属クラブから道具を盗むことだという結論に至った。そこから先は、ますますおかしなことになって行った。  コロナ対策の経済封鎖が行われたことで、五輪選手は至る所で精巧なトレーニングやコンディショニング、練習方法を考え直し、再設計をせざるを得なくなった。