米石油協会(API)はワシントンで最大の石油ガス業界ロビー団体だ。何十年にもわたり、その財力を駆使して業界の行く手を阻む環境政策のほぼ全てと戦ってきた。ところがAPIは3月、完全な方針転換を示唆した。気候変動に対応するための行動計画を発表したのだ。計画の中心にはAPIが長年反対していた二つの政策を据えている。石油ガス事業で発生する温室効果ガスの一つであるメタンの排出規制強化と、全ての二酸化炭素(CO2)排出に科される罰金である炭素価格だ。ワシントンの基準からしても、これは驚くべき変化だった。そして誰一人として歓迎する者はいなかった。民主党議員は代替エネルギーを支持し、石油業界への懐疑的な見方を変えていない。同業界をずっと擁護してきた共和党議員は蚊帳の外に置かれたと感じている。議会は電力会社や風力・太陽光発電デベロッパーを支援する巨額投資を検討している。そうした資金の一部は石油ガス企業に科される新たな罰金や税金から賄われる。
米石油協会の「脱炭素」転換、誰も喜ばず
敵からも味方からも懐疑的な反応
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