「ふん便性大腸菌」の数で
水質汚染度合いを見てみよう

 夏といえば、海水浴の季節。ダイヤモンド・オンラインでは、8月2日配信の「水がきれいな海水浴場ランキング2021」を皮切りに、日本全国の海水浴場(川、湖沼の水浴場を含む。以下、海水浴場と表記する)に関するさまざまなランキング記事をお届けする。今回は、水質判定基準として用いられている「ふん便性大腸菌群数」(個/100ml)、「透明度」(m)の二つの項目から、水の汚さに焦点を当てて見ていこう。

 例年、環境省は全国の海水浴場の水質調査を取りまとめてきたが、今年は昨年に引き続き、コロナ禍で水質調査結果の取り扱いが異なることなどを理由に中止となっている。

 そこで、ダイヤモンド編集部のデータ班は各都道府県にヒアリングしたデータ、または各都道府県が開示したデータを基にして、独自の水質ランキングを作成した。

 なお、現在は感染力が強い「デルタ株」が猛威を振るうなど新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、8月2日時点で緊急事態宣言の対象地域が6都府県(東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、沖縄)に拡大された。また、まん延防止等重点措置も5道府県(北海道、石川、兵庫、京都、福岡)に適用されている。

 さらに、8月1日には全国知事会が緊急提言をまとめ、国民向けに「都道府県境をまたぐ旅行・帰省等の原則中止・延期」を呼び掛けている。

 海水浴場の利用については、こうした状況を踏まえてくれぐれも慎重に判断してほしい。

 まずは一つめのランキングの指標となる「ふん便性大腸菌群数」について、詳しく説明する。

 大腸菌は、ヒトや動物のふん便(=うんこ)由来のもの以外に、土壌や植物などから来るものもある。より的確にふん便汚染を把握することができるのが、ふん便性大腸菌群数の調査になる。

 環境省の水質格付けで、最高位の「AA」を獲得するには、複数回測定した平均値で100ml当たり2個未満のハードルをクリアしなければならない。同様に「A」は100個以下、「B」は400個以下、「C」は1000個以下、「不適」は1000個超となっている。

 なお、同省はAAとAを「適」、BとCを「可」と位置付けている。

 ダイヤモンド編集部による「ふん便性大腸菌」が多い海水浴場ランキングでは、水質格付けが「A」と「B」の海水浴場のうち、ふん便性大腸菌群数(個/100ml)の平均値が10個以上を対象とした。該当した海水浴場は41カ所。順位は大腸菌群数が多い順だが、個数が同じで水質の格付けが異なる場合は、格付けが低い海水浴場を上位とした。

 なお、ランキングには一部、川や湖沼の水浴場も含まれている。長野県など、海のない自治体に住む方もぜひチェックしてみてほしい。