バイデン氏のアフガン撤退擁護、与野党から批判Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

 アフガニスタン政府の崩壊とその後の大混乱を受けて、米議会で与野党議員から大統領への批判が強まる中、ジョー・バイデン米大統領は16日ホワイトハウスで演説し、自ら下したアフガンからの米軍撤退決定を「全面的に支持する」と語った。

 バイデン氏は、反政府勢力タリバンによる権力奪取が自身の予想よりも早く起きたほか、(在留米国人、アフガン国民の)脱出の段取りが「完璧にはほど遠い」状態になっていることを認めた。しかしバイデン大統領は、こうした不手際に関する責任を認める姿勢をほとんど示さなかった。バイデン氏は、国外脱出を図るアフガン人らが必死の様子でカブール国際空港に押し寄せた状況について、「心が張り裂けそうな」光景だったと語った。

 バイデン氏は、在留米国人と米国を支援した人々を安全に国外脱出させることを約束する一方で、アフガン政府崩壊の責任の多くは、タリバンと戦う姿勢を見せなかったアフガン政府軍にあると主張した。アフガン軍はこれまで、米軍による訓練を受けてきた。

 バイデン氏は「あえて言うなら、過去1週間の出来事は、米軍のアフガンへの関与を終わらせる決定が正しかったとの認識を強めるものだった」と指摘。「アフガン政府軍が自分たちのために戦う気を見せない戦争で、米軍が戦うことは不可能だ。米軍は戦うべきではなく、死者を出すべきではない」と主張した。

 アフガン戦争は、2001年9月11日にニューヨークとワシントンがテロリストの攻撃を受けた米同時多発テロの後、テロの首謀者らを一層する作戦として20年前に始まり、米国にとって最長の戦争となった。今回のバイデン大統領の発言と、大混乱の中での米国関係者らの脱出劇は、そのアフガン戦争の最終章になるだろう。