最大の消費国、中国の需要減少で
銅価格は下落圧力がかかる
では現在の状況がどうなっているかを見てみよう。
下記のグラフの通り、今年2月以降、銅価格の期間構造は、コンタンゴに向かっている。コンタンゴの背景は、日々発表されるLME指定倉庫在庫が増加していることがある。
ストライキなどの特殊な要因がない限り、たいてい生産よりも需要動向が在庫水準に大きな影響を及ぼすことが多い。このバックワーデーションからコンタンゴへの変化は、需要の減少によるものと考えるのが妥当だろう。
では、世界の銅消費量のうち5割以上を占める中国の需要動向は、どうだろうか。中国の銅生産や輸入、取引所在庫の変化を元に算出した「顕在需要」も昨年9月以降、減速していることが分かる。
コロナの影響による景気減速を回避するために行われた公共投資をはじめとする中国政府の経済対策が「過剰」であり、住宅セクターがバブルの様相を呈し始めた。
こうした状況に対して、中国政府がブレーキをかけたことが影響していると考えられる。中国の個人消費のGDPに占める比率はまだ4割に達しておらず、引き続き経済動向は国内の投資動向の影響を強く受ける。
言い換えると、中国は不況に陥った場合の景気浮揚策として、財政出動を伴う投資や金融緩和による投資促進に頼らざるを得ない。この政策はバブルを発生させ、先々のダウンサイドリスクを高めることになる。
習近平国家主席は、来年に「終身主席」になることを考えていると思われる。それは取りも直さず、「自分で作ったバブルを他人ではなく自分で処理しなければならないこと」を意味する。つまり、バブルはできる限り小さいときにつぶしておくのが習近平国家主席にとって望ましいともいえるわけだ。
今後も中国政府によるバブル抑制の方針に大きな変化はなく、米FRB(連邦準備制度理事会)はテーパリングを実施する見通しだ。供給面では、大手生産者のストライキが収束する見通しであることから、やはり銅価格には下落圧力がかかると考えるのが妥当だろう。





