現在、さまざまなメディアで大活躍中のひろゆき氏。全国のベストセラーランキングで続々と1位を獲得し、34万部を突破した著書『1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)
人間の「センス」が発揮するところ
未来予測には意味があるのでしょうか。
自分なりに考えることはよいことだと思います。それは、自分の直感でわかる分野に限られます。芸能界に詳しい人が「あの人は売れる」と感じたり、アパレル業界の人が「次はこのアイテムがくる」と感じるような場面です。1つの業界の中でずっと磨いてきた感覚は、たしかに存在するでしょう。
今は、AIによる機械学習でコンピュータが様々な予測をすることがありますが、それはコンピュータが分析しやすいデータを大量に持っていることが前提です。
人間の脳だと、これまで見てきたデータがあったうえで、「感覚的にぼんやりわかる」というセンスのようなものが働くので、そこの領域だとまだまだAIに負けないのだと思います。
そして、大事なポイントは、1人の人間のセンスは、限られた分野でしか発揮できないということです。スポーツの分野でセンスがある人が、囲碁や将棋の予測をすることはできません。逆もまた然りです。
ということで、1つの分野のスペシャリストがその分野に関して予測することは参考になると思いますが、それ以外の99%の未来予測は、ほとんど役に立たないでしょう。
「未来予測 = ただの占い」
世の中の多くの未来予測は、言ってしまえば「占い」と同じです。
「あなたは3年後に大きな病気になります」と言われたとします。もし、占いが当たって病気になったら「すごい」と言われますし、占いが外れたら「先にわかったから運命を変えられた」となります。
つまり、どちらに転んでも、占い師はソンすることがありません。言ったもの勝ちです。
ここで大事なのは、悲観的な予測は誰にでもできるということです。悪いことが起こらなかった場合に、「予測が外れたじゃないか!」と怒り出す人なんていませんからね。
「専門家以外の予測」は「ただの感想」
占い師に限らず、危機感をあおってお金儲けをする人はたくさんいます。
「この知識がないと生き残れない」「この資格がないと仕事がなくなる」「この保険に入らないと大変なことになる」……。
世の中の多くの商売は、この論法で成り立っています。不安を煽れば、相手は思考停止になることが多いですから。
それを避けるためにも、最初の話に戻りますが、自分で考えるクセをつけておくことです。あるいは、未来に関することは「専門家」の意見を聞くことです。専門家ではない人の未来予測は、ただの感想と同じですからね。そんなものに、何の価値もないと思いますよ。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。