農産物を自由化すれば、農業全体が不利になるような錯覚に陥りやすい。しかし、農業には、競争力の高いプロ農家と片手間に農業をやっている兼業農家がある。市場開放をして競争が生まれてくれば、プロ農家はさらに発展し、兼業農家のなかには農業を続けることが、難しくなるところも出てくるだろう。日本全体の農地面積が一定だとすれば、それだけ農地がプロ農家のほうに移っていくことになる。そうした移行がスムーズに起きるような政策的対応が必要である。

 日本の農産品を海外に輸出していく可能性まで考えれば、市場開放の意義はさらに大きくなる。アジアの近隣諸国は産業発展とともに農業輸入国になっていく。人口密度が高く、国民一人当たりの農地面積が小さいので、将来は多くの食料を海外からの輸入に依存せざるを得ない。国民の所得水準が上がってくれば、より品質の高い食品を求めるようになるだろう。

 こうした国々に距離的に近い日本は、食料輸出という意味では非常に有利なのだ。そのためにも農業政策を保護から競争力促進に転換し、市場開放を進めていくことが求められる。


【編集部からのお知らせ】

安倍政権のブレーンである伊藤元重教授の最新著書『日本経済を創造的に破壊せよ!』が発売されました。アベノミクスの先行きを知るためにも必読です!

日本経済を創造的に破壊せよ!
衰退と再生を分かつこれから10年の経済戦略
伊藤元重 著
価格(税込):¥1575
発行年月:2013年3月

長引くデフレ、財政危機、TPP参加問題……アベノミクスでかすかな光が見えてきたとはいえ、いまだ難問山積の日本経済。だが、少子高齢化、グローバル化、アジアの急成長といった長期トレンドを所与とすれば、取るべき戦略は明らかだ。安倍政権の経済財政諮問会議議員が示す復活への処方箋!

ご購入はこちらから!【Amazon】【紀伊国屋書店】【楽天Books
電子版もあります【Kindle