S&P500種指数は「三猿の教え」に従っているようだ。「見ざる、聞かざる、言わざる」。何が起こっても、ひたすら上昇している。5%以上の調整があってもおかしくないような憂慮すべき出来事が多々起きているにもかかわらず、株式相場は11月以降、ほぼ一直線の右肩上がりだ。投資家は驚くほど順応性が高い。市場がやり過ごした幾つかを列挙してみよう:クリーンエネルギー株のバブル崩壊、米国債の利回り急上昇(3月まで)、米国債の利回り急低下(3月以降)、中国による金もうけ主義に対する取り締まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の債券購入縮小へ向けたシフト、新型コロナウイルス変異株「デルタ型」の感染拡大――。楽観的な見方をするなら、単一セクターのぶっちぎりではなく、多様な力学で市場が押し上げられていることは素晴らしい。クリーンエネルギーのバブルが崩壊して相場全体が下落するのではないかと心配する必要はない。なぜなら、既に市場を下落させることなく崩壊しているからだ。