8月の米雇用統計は、非常に失望すべき内容だった。そしてこれは、米バイデン政権下の労働市場が置かれた不可思議な状況を鮮明に示すものだ。雇用主は労働者確保に懸命となり、給与を引き上げているが、失業している人々の中で提示される仕事に応募する者が少なすぎるのだ。8月の統計では、まさにこうした状況が確認された。米労働省の発表では、非農業部門就業者数の増加幅が前月比23万5000人にとどまり、エコノミストらの予想平均(73万3000人)を大きく下回った。新型コロナウイルス感染症のデルタ株の感染拡大が主因となって、小売り分野の就業者数が2万8500人減少し、レジャー・接客業の就業者数は横ばいとなった。それ以前の数カ月に見られた経済再開の動きは明らかに減速し、旅行と外食の需要が減った。開放的な夏への期待は裏切られた。
【社説】バイデン政権下の不可思議な雇用情勢
求人増でも伸びない労働参加率
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