私の場合、読書は好奇心を満たすことに加えて、そこから何かを吸収して、別のどこかでそれを生かす目的で行います。最初の目的だけならただ読んでおしまいでいいのですが、そこで発見したことを吸収しようとしたら、何らかの記録を取ることが大切になります。

 その場合、一番簡単な習慣は電子書籍の場合はしおり機能を使うことです。以前、主に紙の本を読んでいた当時は本の耳を大きく折るようにしていました。どちらも同じ目的の習慣です。良いことが書いてある箇所にしるしをつけるわけです。

 ただ、その場合いくつでも本の耳を折りまくればいいというものではありません。自分の中で原則のようなものを作りながら、1冊の本で耳を折るのは10~20カ所程度と基準を決めておくことが重要だと思います。

 もちろん本によっては1カ所も耳を折るべき箇所がないハズレの本もあれば、結果として何十カ所もしおりが入ってしまう本も出てきます。それでも「しおりの数はそれほど多くないほうがいい」というのが私の発見です。理由は「本を読み終わった後で、しおりを確認することでその本の一番おもしろいところを振り返ることができるようにする」ためです。

 これが実は、読んで面白かった本を記憶するためのコツです。本を読み終わったらしおりのページを読み直す。5分くらいしかかからない作業ですが、そうやって読み直すことでその本の何がどう面白かったのかを記憶に焼き付けることができるようになるのです。

 さて、このしおりの作業を読書の作法として行うことで「あの話ってどの本に書いてあったんだっけ?」と、あとでわからなくなるケースは比較的防ぐことができるようになるのですが、「あの話」自体を忘れないようにするためには別の作業が必要になります。

 それが私の「読書ノート」術になります。読書ノートはいろいろな書き方があるのですが、私の場合は「ネタノート」と割り切って作っています。つまり全部の本を記録するつもりなどなく、かつ選ばれし本についても本全体の感想を書くこともしない。しおりの中でも厳選しておもしろいネタだけをノートに記していきます。

 全体を網羅していない分、その読書ノートはあくまでネタ本です。パソコンにワードファイルとして記録しておいて、たまにそのファイルを開いて中身を見る。そうしておくことで何かの機会で読書で得た情報を再活用できる機会が増えるのです。