マイケル・アンダーソン氏(30)は、寮住まいの頃には暗号資産(仮想通貨)ビットコインを採掘し、暗号資産プロジェクトに投資するために安定した職を辞めた。今年にはサンフランシスコで初めて住宅を購入したが、銀行には頼らなかった。住宅ローンの借り入れは、保有する暗号資産を担保に行った。アンダーソン氏のような仮想通貨ファンの間では、ここにきて保有資産を活用して住宅や車を購入する動きが広がっている。さらに暗号資産の持ち高を積み増すケースも多い。ローンの貸し手は新興のノンバンクか、ブロックチェーン(分散型台帳)ベースの自動化プラットフォームだ。これらの貸し手も銀行と同様、通常は預金を受け付ける。だが、従来の銀行と異なるのは、預け入れる資産が仮想通貨だという点だ。仮想通貨の預金――平均を上回る利息が付く――は、仮想通貨を担保として差し出した借り手向けの融資原資に使われる。ローンの形態はさまざまだ。取引相手の貸し手によるが、借り手はドルなど従来の法定通貨か、法定通貨に連動するステーブルコインを手にすることができる。