新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて、新たな危険ウイルスの特定と感染対策に向けた研究が世界的に加速している。これにはウイルスに新たな能力を与える実験も含まれる。公衆衛生の確保が目的だが、科学者からは疫病流行を招きかねない事故発生のリスクを伴うプロジェクトもあるとの指摘が出ている。米国では、研究機関、または政府の資金提供者が事前に実験を精査しているが、とりわけ世界の一部の国々では、極めて危険なプロジェクトも最も厳格な審査を受けずに実施されることがある。科学者やバイデン政権関係者からは、生物研究に関して世界的な監視強化を求める声が上がっている。焦点の一つに挙がっているのが、病原体を強化、または新たな特性を加える実験だ。「機能獲得」とも呼ばれるこうした実験は、ヒトへの感染性の有無を調べるために行われることが多い。