誰にも何も分からない。 誰にも何も分からない。ウィリアム・ゴールドマン氏の米映画業界に関する1983年の著作「Adventures in the Screen Trade(映画界での冒険)」にあるこの一文は、中国恒大集団の経営危機とそれに巻き込まれた世界の投資家を端的に表している。今は亡きゴールドマン氏と同じく、筆者も読者が実感できるようにこの一文を繰り返すことにする。誰にも何も分からない。誰にも何も分からない。というのも中国企業もそこに投資する投資家も、事実上の「終身国家主席」である習近平氏の気まぐれに手足を縛られているからだ。習氏と中国共産党から目をかけられていた経営者、企業、業界全体が何の前触れもないまま力と価値を奪われ、外国人投資家はぼうぜんとしている。