中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の経営幹部、孟晩舟氏が米国での訴追を免れて解放された。その舞台裏で行われた交渉は、米中両国間の対立要因を取り除くとともに、これまでほとんど知られていなかった両国関係の実利的な側面を示すものとなった。米中両国は、技術や人権問題から中国の領有権主張に至るまで、多くの面で対立している。国連事務総長は今月、両国関係を「完全な機能不全の状態」と評した。しかし、気候変動問題での協力やビザの発給状況など、ジョー・バイデン米大統領就任後に増している融和的動きは、米中双方が関係改善に向けた萌芽(ほうが)を逃すまいと考えていることを示唆している。こうした動きは、米中の深刻な対立関係の周辺部分で起きているもので、台湾や南シナ海での中国の領有権の主張など主要な対立点に関しては、雪解けの兆しは見られない。中国の領有権の主張により、両国が軍事衝突に向かうリスクを懸念する人もいる。