フランスは、新型コロナウイルスワクチンの接種を今年開始した当初の段階では、世界でも国民のワクチン忌避がとりわけ強い国だった。ところが、今夏にアメとムチの双方を駆使して数百万人の背中を押したことで、足元では欧米諸国の中で接種率上位に食い込むほどの変身を遂げた。ワクチン接種の成功を受けて、政府内では夏に導入した制限措置を一部緩和する案も浮上している。特に大きな効力を発揮した措置が、レストランやナイトクラブの利用、スポーツ観戦の際にワクチンの接種状況か検査結果の提示を義務づけたヘルスパスの導入だ。仏政府は22日、一部の地域で小学生のマスク着用義務を終了する計画を発表した。フランス政府は、大半の公共の場におけるヘルスパス提示に加え、病院や長期介護施設に勤務する医療関係者らへの接種義務化を発表。それ以降の10週間で、1400万人以上の国民がワクチンを接種した。現在では、12歳以上の約88%が少なくとも1回の接種を終えており、この割合は米国や英国、ドイツを上回る。感染率は24日時点で、米国の10万人当たり241人に対し、61人を割り込んでいる。フランスでは新規感染が毎週およそ4分の1のペースで減っており、死者・入院者数も減少傾向をたどる。