休んだときも使ってしまわない

 残高が12万円だったら12カ月目は積み立て投資をしなくていい、12カ月目の残高が15万円になっていたら3万円分は売ってしまってかまわない、とすると、現金が手元に残ることになる。

 当然であるが、その分は使ってしまっていいというわけではない。別口で貯金をしておくべきだ。そうすれば、残高が目標に不足して多額の購入が必要になった月にも生活費を削らずに投資をすることが可能だからである。

 人間は意思が弱いものであるから、使ってしまいたい気持ちもわかるが、そこで使って株価が下がったときにみじめな思いをすることを思えば、しっかり我慢したい。

 現役時代に貯めた老後資金は、老後に少しずつ取り崩していくのだろう。その場合も、毎月の目標残高を決めて、その残高より多い月は多めに取り崩すことにすればいい。当然ながら、その分はぜいたくをするということではなく、その月は退職金を取り崩さないということである。

 一方で、投資信託の残高が不足する月には、投信は取り崩さずに、退職金を少し多めに取り崩す、といったことが必要となろう。そうすることによって、売るときも高いときに多く売り、安いときに売らない、ということが可能となる。

 現役時代は高く買わずに安く買い、老後は安く売らずに高く売る、ということになれば、それはつまり安く買って高く売る、ということなのである。

 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織などとは関係がない。また当然であるが、投資は自己責任でお願いしたい。