サステナビリティ戦略の実行は本業そのもの 脱炭素社会に向けたイノベーションを進める

サステナビリティ×イノベーション

トップが旗振り役となって
変革を推し進める

山本 : 具体的なCO2削減対策をいくつかご紹介いただけますか。

釣流 : たとえば、2020年7月、千葉県市原市の大型商業施設「アリオ市原」にメガソーラー(大規模太陽光発電)を導入しました。イノベーションチームが立ち上がったことで、これまでセブン−イレブンを中心に進めていた太陽光発電の導入を、スーパーストアにも拡大していくきっかけになりました。

 セブン−イレブンでは、新しい省エネや創エネの技術を積極的に採用していますが、店舗面積がグループの中でも小さく実証実験を効率的に行うことができます。効果を検証したうえで、大規模な施設を持つイトーヨーカ堂へスケールアップを図りました。

 このように、イノベーションチームによる働き掛けによって、事業会社ごとの先進的な取り組みを連携させ、グループ全体としての目標達成に結び付けていきたいと思っています。

山本 : グループ全体としての目標を達成するためには、進捗や効果の「見える化」が不可欠ですね。

釣流 : おっしゃる通りです。各イノベーションチームには、必ず施策ごとの進捗状況を示すように求めています。環境投資は事業会社ごとの負担となっているので、各社の経営層が投資をためらうと進捗が滞る可能性もありますが、そうした場合でも、グループ全体の目標達成に責任を負うイノベーションチームが後押しする役目を果たします。

 具体的なソリューションと効果の見通しを提示しながら説得できるので、投資を促しやすくなる側面はあると思います。

山本 : 御社に限らず、企業グループ全体としてサステナビリティ対策に取り組むには、トップのコミットメントが欠かせません。

釣流 : その点、当社では社長である井阪が旗振り役となって全体を動かしているのが大きいと思います。経営の判断がなければ、投資を実行できませんからね。

山本 : トップが変革をリードするだけでなく、実際に動く組織・人材や予算、システムなどをきちんと手当てしなければ、戦略の実行には至りません。

 たとえば、各拠点の電力消費データを一元管理し、トラッキングすることでCO2削減対策の効果を検証できる仕組みを構築することも重要です。

釣流 : セブン−イレブンは全店舗の約90%にスマートセンサーを設置しており、日々の電力使用量や設置設備の稼働状況を本部と店舗で確認することができます。

山本 : 電力使用量とCO2排出量に加えて、実際負担しているエネルギーコストも一元管理し、目標進捗状況を、可視化する仕組みも必要ですが、日本ではそこまでできている企業は少ないのが現状です。
釣流  当社グループではCO2排出量のほとんどが電力使用に伴うものなので、可視化しやすい利点があります。グループ全体でそうした仕組みを整えていくのは、今後の課題ですね。

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