Digital ESGの仕組みを活用し
ESG関連情報の定量化を試行
デジタルプロセスビジネスユニット FMCセクター
今野愛美 氏 Manami Konno 2006年アビームコンサルティング入社。国内外の企業や組織に対してコンプライアンス、SOX法対応、財務経理、リスクマネジメント業務の改革や、教育・意識改革プログラムの策定プロジェクトに数多く従事。現在は、企業価値向上のための取り組みの一つとしての非財務情報の活用をデジタルでリードするサステナブル経営支援、Digital ESGのサービスリーダーを務める。
今野 : 御社(KDDI)もそうですが、日本ではESG活動に誠実に取り組んできた企業が多く、その意識は潜在的に広く根付いていると感じます。ただ、これを今の世の中のマルチステークホルダーが望む形で開示や訴求ができているかどうかについては、まだ課題があると思います。取り組みそのものは意義深いにもかかわらず、日本企業のESGを含む企業価値評価が低いという現状には、もったいなさを感じます。ESG活動の価値を企業が訴求することができれば、日本企業の価値はもっと上がるはずです。
この現状を少しでも前に進めるために、「Digital ESG」を構想しました。主にESGデータを収集する「Data Connection」、ESG×企業パフォーマンスをデータから分析する「Data Analytics」、ESGデータと分析結果を可視化する「Cockpit」で構成されています。最勝寺さんが話された、ESGの成果や効果を定量的に表す部分はData Analyticsに当たります。
最勝寺 : 定量化は重要なテーマですね。KDDIではこれまで、SDGs(持続可能な開発目標)説明会やESG説明会など、当社の活動内容を投資家に認知してもらうための場を設けてきました。個別の活動についてはIRから回答していますが、定量的に効果が出ているといった説明まではできていませんでした。
トライアルを開始した2020年9月から、2021年3月期決算説明のプレゼンテーション資料で、結果の一部を開示するまでの短い期間でも、社会におけるESGやSDGsへの関心が日に日に高まっていくのを感じました。
今野 : まさに、大きなうねりのように劇的に変化していますね。一方で最勝寺さんが指摘されたように、ESG関連情報の定量開示は、画一的なルールが定まっておらず、これだけやっていればいいという絶対解もありません。アビームコンサルティングでも皆様の声を聞きながら、定量化・データドリブンという観点をベースに、開示関連の大きなうねりを見定めつつ、その企業ならではのオリジナリティをあぶり出せるように、企業それぞれが置かれた状況で実現できる部分を見定めながら、取り組みを進めていくことが欠かせないと考えています。
最勝寺 : 今回、その辺りは大いに頼りになりました。当社の場合、サステナビリティ推進は、私が所管する経営管理本部ではなく専門の部署があります。私たち経営管理本部は数字で実績を表し、それを対外的にディスクローズしていくのがミッションです。状況を理解し目的に沿ったサポートをいただけたのは助かりました。いつまでにどのようなゴールを目指すのか、ステップを踏んでわかりやすく提案していただきました。内容は実現性が高いと感じましたし、安心感もありました。
今野 : ありがとうございます。ただ、私たちの伴走より、KDDI社内でやっていただくことがたくさんありました。ご苦労が多かったのではないかと思います。