外国の映画やテレビドラマの吹き替え版を次に見るときは、吹き替えの声は俳優が録音したものではないかもしれない。それどころか、俳優の声ですらない可能性がある。非常に精巧な声をデジタルでつくり出す時代がすぐそこまで来ている。エンターテインメント業界の幹部らは、コンピューターグラフィックスが視覚効果で業界を一変させたように、音声面で革命をもたらす可能性があると口をそろえる。新たな企業が人工知能(AI)を使い、俳優の生の声から人間のような声のモデルをつくろうとしている。役者の声と同じような声だけでなく、あらゆる言語や泣き声、叫び声、笑い声、あるいは口に食べ物がいっぱい入ったまま話す声さえ可能だ。一方で、役者が実際に話しているように見せるため、視覚技術も磨きをかけている。