現在、巨額の債務問題で苦境にあえぐ中国不動産開発大手「中国恒大集団」は、不動産市場の過熱抑制を目指す同国政府の取り組みを受け、深刻な問題に直面した最初の著名な不動産会社だ。しかし、苦境に陥るのは同社が最後ではないかもしれない。多くのエコノミストが歴史上最大級と評している中国の不動産ブームが最終段階に入る中で、ブームの副作用は巨大になっている。野村ホールディングスによれば、好況時に同国不動産開発業界が積み上げた債務は5兆ドル(約561兆円)に達している。この負債額は、2016年末の倍近い規模であり、世界第3位の経済大国である日本の国内総生産(GDP)を上回っている。海外の投資家向けにも債券を発行している同国の不動産開発会社の5分の2ほどが危険信号を発している中で、世界市場はデフォルト(債務不履行)が続発する可能性に備えている。