ある機関士は黒海に面した港に停泊中の貨物船に4年間足止めされたまま、給料をもらって帰宅する日を待ちわびている。アフリカ東部ソマリアの沖合では、ある乗組員が給料を待ちながら、海賊の横行するインド洋の海域でゆっくり浸水する船内に取り残されている。さらに別の14人の船員が、イラン沖の貨物船内にとらわれの身となっている。食料も燃料も尽き果て、自殺を考える者さえいる。「ここで生き延びるのは不可能だ」。イラン南部の港湾都市バンダルアバスの沖合に放置された「MV Aizdihar」の機関士は訴えた。「われわれを助けてほしい」。今年、動画を通じて窮状を語った機関士の顔はやつれていた。