アップルのトップセールスマンとしての役目を退いてから10年、米百貨店チェーン大手JCペニーの最高経営責任者(CEO)を業績不振で更迭されてから8年、ロン・ジョンソン氏(63)は再び小売りの世界を作り変えようとしている。同氏が経営するエンジョイ・テクノロジーは、高級家電メーカーや高級ブランドが抱える新たな問題に対処することを目指している。それら企業の多くは顧客体験に細心の注意を払っているが、完成された製品を顧客の自宅に配送する場合、商品が入った段ボール箱は玄関先に放り投げられる結果になっている。そこでジョンソン氏は、高級品のショッピングをリビングルームに持ち込む会社を設立した。同氏の成功は、オンラインショッピングの未来を左右する可能性がある。同氏のレガシー(遺産)もだ。つまり、JCペニーで失敗したものの小売業の先駆者として記憶されるか、アップルで最高の仕事をしたが、その後は苦戦に終わった人として記憶されるかが決まる。