高速な第5世代移動通信ネットワーク(5G)が普及しつつあり、自動車メーカー各社はそのスピードを生かして何ができるかを見極めようとしている。スポーツカーメーカーのポルシェは、ドイツ南西部バイザッハにあるテストコースで電動スポーツカー「タイカン」を走行させ、車両に組み込まれた5G機器のデータ通信状況を確認している。ポルシェは、新車種を開発するにあたり、通信事業者と組んで小規模なローカル5Gネットワークを構築し、その技術を試している一握りの自動車メーカーの一つだ。高速ネットワークはまだ非常に新しい技術であるため、自動車メーカーは必要な機器をテストしたり、場合によっては設計したりする必要がある。しかし、自動車メーカーはこの技術に大きな野心を抱いている。5Gを利用し、移動中に重要なソフトウエアのアップデートをダウンロードしたり、デジタルマップをもっと高速に更新したり、道路状況について警報を発したりできるようにすることを目指している。また、自動車が信号機や建物などのスマートインフラと通信し、例えば自動運転タクシーが次の交差点の信号機が赤であることを感知する、といったことができるようになる可能性もある。さらには、自動車同士が通信をやり取りし、信号無視をしている歩行者がいることや路上に障害物があることを、他の車に知らせるようになるかもしれない。