米国と中国の覇権争いは、無線通信技術の仕様設定という、これまで何の変哲もなかったプロセスを混乱させている。2018年に設立された業界団体「O-RAN(オーラン)アライアンス」は今夏、米中間の緊張状態の中に引きずり込まれることになった。O-RANは、移動体通信機器を相互運用可能にし、それによって価格を引き下げることを目的に規格の開発に取り組んでいる。そこに加盟するフィンランドの通信機器大手ノキアが8月下旬、300社を超える加盟企業のうちの2社が米商務省のブラックリストに載っている中国企業であることに懸念を表明し、アライアンスでの作業の中断を申し出た。ノキアの無線機器部門責任者を務めるトミー・ウィット氏は、同社はO-RANが米国の法律や規制を順守していることを確認したかったのだと述べた。
5G巡る米中の争い、業界団体の技術開発を窮地に
技術仕様の開発プロセスが地政学上の対立の禍中に
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