エネルギー価格急上昇の衝撃は、再生可能エネルギーへの転換を図ろうとする中でも、世界が依然として化石燃料に依存していることを思い知らされる。石油、石炭、天然ガスへの需要は、ここ何週間か世界的に急増している。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から立ち直りつつある経済の回復と天候不順が相まって、中国からブラジル、英国に至るまで各地でエネルギー不足が起きている。世界各国の投資家や政府は、気候変動への懸念を背景として、化石燃料から、よりクリーンなエネルギー源への転換を加速させようと努力している。だが現在の状況は、世界のエネルギー供給のぜい弱性を浮き彫りにしている。エネルギー企業の幹部やアナリストらによれば、こうしたエネルギー源の転換過程は、今後何年にもわたって厳しい状況に直面し続けるとみられる。その背景には次のような厳しい現実がある。化石燃料への投資が減少している中で、化石燃料は依然としてエネルギー源の大半を占めている。一方、グリーンエネルギーへの投資は、その穴を埋めるのに十分なペースでは進んでいない。