この数年、車道を自動車並のスピードで駆け抜ける自転車を見かける事は非常に多くなった。かつてはメッセンジャー便の専売特許だったが、一般のビジネスパーソンで、プロ仕様の自転車に乗る人が増えている。確かにエコだし、健康にも良い。しかし、自転車が絡んだ衝突事故も増加している。自転車に乗る人は、どのような法的責任があるのだろうか。(弁護士・勝浦敦嗣 協力:弁護士ドットコム)
流行る自転車通勤
増加する衝突事故
環境対策や健康増進などを目的に、自転車通勤をするビジネスパーソンは格段に増えた。車と並んで車道を自転車で駆け抜ける姿は、都内ではもはや珍しい事ではなくなった。休日に自転車で遠出する人も多いと聞く。
それと同時に、今、自転車と歩行者の事故が急増している。交通事故の案件に混じって、筆者の元にも自転車事故の案件が見られるようになった。
もし、自転車で通勤中、歩行者とぶつかってケガをさせてしまったら……。あるいは、休日にサイクリングを楽しんでいるとき、誤って子どもにぶつかってケガをさせてしまったら……。あなたはどのような責任を負うか、考えてみた事があるだろうか。
本稿では以下の4つの点を考えみたい。
(1)加害者になってしまったらどうすればいいか
(2)損害額はいくらになるのか
(3)どれくらいの割合で負担しなければならないか
(4)刑事上の責任はどのようになるか
では早速、具体的に説明を始めよう。