岸田文雄首相が超名門・開成高校の出身であり、母校愛が強いことは「留意すべき点」として霞が関の省庁で受け止められている。省庁内で開成OBを探し、開成閥による岸田首相とのパイプづくりに奔走する霞が関の狼狽ぶりを詳報する。(イトモス研究所所長 小倉健一)
「開成出身をすぐに調べろ」
霞が関で密かに進む岸田首相の同窓探し
「あなたはどこを出たの?」
政治家やキャリア官僚、記者にまで学歴を問うことで知られた宮澤喜一元首相。武蔵高(旧制武蔵高等学校)、東京大学法学部を卒業し、「東大法にあらずんば大学にあらず」とばかりの学歴偏重主義に周囲が困惑したのは約30年前のことだ。
こうした不毛な議論が今、権力中枢で再び起きようとしている。背景にあるのは、岸田文雄首相のあまりに強すぎる母校愛だ。
「誰か開成出身はいないのか。すぐに調べろ」。成績優秀者たちがそろう霞が関で9月末、経済官庁の中堅職員は上司にこう命じられた。
自民党総裁選で勝利した岸田首相の母校は名門私立・開成高校。東大合格者数で40年連続の全国1位という超エリート校は、意外にも首相の輩出が初めてとなった。東大出身者が多い霞が関官僚の中で、その「同窓」探しはひそかに進められた。
岸田氏は、小渕恵三内閣の建設政務次官時代に旧建設省内の「開成会」を立ち上げるなど母校愛が強い。2017年9月には政官界の開成OBで「永霞会」を発足させ、自ら初代会長に就いた。
母校を愛する気持ちは多かれ少なかれ人々が抱くものであり、もちろん自由だ。橋本龍太郎元首相が卒業した私立・麻布高校の「麻布閥」は有名である。