アート事業のOさんは、「伝統工芸の張籠のことを知らない人がいる。もっと広めないといけない」「講演会やバザーの会場で資料の宣伝をしてもいいよという申し入れがあった」「皆にわかりやすくしないといけないので、専用の講座を開く」などの話が面白かったとして紹介した。

 電子書籍事業のNさんは、「最初から収益化を考えると難しいので、まずは肩肘張らずに続けていく」「著作権の勉強をする」「最初からEPUB(電子書籍の標準規格)だけにこだわる必要はない」「ニーズをどう掘り起こすか」などと課題が多く出されたことを明かした。

 Oさんはアーティストっぽく、感性で物事を捉えていたし、Nさんは職人っぽい技のようなものを感じさせる。そんな彼らに、周囲がどうアプローチしていけるのかが課題なのだろう。

フューチャーセッションで壊れる
支援する側・される側の垣根

 こうしたセッションに参加するたび、自分なりに新たな気づきがあって日々進化していると思うし、周囲にも少しずつだが、気づきが広がりつつあるように思える。

 最後の「振り返り」の中でも、参加者から「支援する側と支援される側の垣根がどんどん崩れていく感じがする」という感想が出された。

 あるいは、「今回の提案者たちは“支援されるのではなく支えあって生きていく”という道を選択。スタッフは支援ではなく、彼らの思いと社会を結びつける役割を担っているんだと思った」という当事者からの実感にも、なるほどと思わされた。

 トレーニングしなければいけないのは、はたして社会から離脱した当事者のほうなのだろうか。

 彼らの中にある豊かな引き出しは、探してみなければわからない。

 引きこもっていない人たちの対話力。あるいは、弱い人たちの思いに耳を傾け、自分の中にある答えのない思いを口にする勇気。そうしたやり取りの中からしか、導き出せないのではないか。

 ソーシャルメディアなどを使って、当事者たちが自ら動き出したいま、支援する側と支援される側の関係も、変化していく必要がある。

 当事者たちが経験してきたことをありのまま生かして、世の中に反映させるには、どういう世の中の仕組みを作ればいいのか。これから皆で模索していく時代が来ている。

<お知らせ>
☆第2回関東ひきこもり問題フューチャーセンター開催☆

●日時
2012年12月9日(日) 13:00~16:00
●場所
落合第一地域センター 4階和室
新宿区下落合4丁目6番7号
TEL 03-3954-1611
西武新宿線下落合駅から徒歩約5分詳細、申し込み等は、下記へ
http://goo.gl/LbCYO

この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方は、下記までお寄せください。
teamikegami@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)


<お知らせ>
筆者の新刊
『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)池上正樹/加藤順子・共著が刊行されました。3.11、 学校管理下で、なぜ74人もの児童たちが、大津波の犠牲になったのか。なぜ、「山へ逃げよう」という児童たちの懸命な訴えが聞き入れられず、校庭に待機し 続けたのか。同書は、十数回に及ぶ情報開示請求や、綿密な遺族や生存者らの取材を基に、これまでひた隠しにされてきた「空白の51分」の悲劇を浮き彫りに していく。