投資家はかつて、電気自動車(EV)に対する需要が高まるか気をもんでいた。だがここにきて、供給こそが真の問題であることが明らかになるかもしれない。米国株式市場が再びEVに熱狂している。まず、テスラの時価総額が1兆ドル(約114兆円)の大台に乗せたのが兆候の1つだ。しかし、さらに極端な例は、米国で最も成功を収めているテスラ模倣者ルシードの株価が10月28日の取引で31%急騰したことだ。何ら大きな材料に関連しているとは見られない中で、時価総額は570億ドルに膨らんだ。ルシードは先週末にEV第1号を納車。570億ドルという評価もあった「米新興EVルーシッドの上場計画、評価額ばらばら」。これは2月下旬の当コラム記事だ。ちょうどルシードに対して、特別買収目的会社(SPAC)が合併を提案しており、並々ならぬ盛り上がりを見せていた時期だ。ルシードは有望な製品を手掛けているものの、偶然にも当時と同じ時価総額をつけた今回の動きが妥当だと思わせるような変化は何も起こっていない。あるとすれば、ここ1年の供給不足が、ルシードの偉大なる構想と納車実績とのかい離の大きさを目立たせただけだ。