もはや物価だけではない。賃金もインフレのシグナルを発している。米国では7-9月期の賃金が前年同期比で4.2%上昇し、1990年以来の伸びを示した。さまざまな業界で人手不足が広がり、企業は賃上げを余儀なくされた。一方、過去4カ月のインフレ率は5%を超え、数十年ぶりの高水準にある。一見すると、賃金が物価を押し上げ、それに伴い従業員が賃上げを要求・獲得するプロセスが始まったかのようだ。このような賃金物価スパイラルはこれまで、根強い高インフレを引き起こす主な要因となってきた。だが、エコノミストらはまだそれが起きるとは思っていない。値上げの直接的な要因が賃金上昇にあると思われる業界は、現時点ではごくわずかだと指摘している。