中国は威圧的な通商政策によって、オーストラリアを政治的に黙らせようとしている。そして現在、中国はさらに、香港を威圧して貿易原則に違反させようとしている。その中で注目すべきは、豪州産ロブスターをめぐる動きだ。スコット・モリソン豪首相が新型コロナウイルスの起源に関する国際的調査を求めたことを受けて、中国は昨年11月に豪州産の甲殻類に非公式の輸入禁止措置を適用した。これにより豪州の中国向け輸出は壊滅的状況となった。しかし、それに代わって香港経由での自由市場の貿易が動き出した。豪中関係研究所(ACRI)のジェームズ・ローレンセソン氏とトーマス・パントル氏は最近発表した論文に、1年前には豪州産ロックロブスターの輸出の97.7%が中国向けだったと記している。しかし中国の輸入禁止措置を受けて豪州は、ほぼすべてのロックロブスターについて、別の市場を見つけ出した。現在、最大の市場は香港だ。香港では豪州産ロブスターの輸入が2000%増えた。かつて英国の植民地だった香港は、オーストラリアとの間で個別の自由貿易協定を結んでいる。そして商魂たくましい密輸業者は、香港が輸入したロブスターを中国本土に持ち込んでいる。