トップは昨年と同じく
レーザーテック

 1位となったのは、神奈川県横浜市に本社を置く半導体製造装置メーカーのレーザーテックで、平均年収は1310.8万円。昨年一昨年のランキングに引き続き、今回も1位となった。

 今回のランキングの対象となった2020年6月期決算は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、スマートフォンや車載機器などの需要が減少する一方、リモートワーク、Eコマース、ゲーミングの増加に伴う通信量の増大に対応したデータセンター向けの半導体関連の需要が拡大。その結果、売上高は前年比48%増の425億7200万円、当期純利益は前年比82.4%増の108億2300万円となった。

 こうした中、前回のランキング時の平均年収1137.6万円(平均年齢42.7歳)から、今回は1310.8万円(平均年齢42.3歳)へと、15%超の大幅上昇となった。

 今回のランキングで年収1000万円超となったのは、レーザーテックのみ。

 だが、実はレーザーテックをはるかにしのぐ年収の会社が神奈川県にある。

 それが独立系のエレクトロニクス専門商社であるマクニカ・富士エレホールディングスだ。

 15年4月にマクニカと富士エレクトロニクスが経営統合してできた共同持ち株会社の単体従業員は25人のため、今回のランキング対象からは外れた。だが、平均年収は1633.8万円と、伊藤忠商事(1627.8万円)を上回り、全国5位の高さだ。

 マクニカ・富士エレホールディングスは20年3月期には従業員数が113人おり、前回のランキングでは平均年収は1020.7万円で2位だった。

 20年3月期には113人いた従業員数が、21年3月期に25人まで減った理由について、「当社の国内グループ組織の見直しに伴い、事業子会社であるマクニカの社員で、当社に兼務出向していた管理部門実務者を、マクニカに帰任させたため」(マクニカ・富士エレホールディングス)としている。

 2位は東京大学発のバイオベンチャー企業であるペプチドリームで、平均年収は976.0万円。3位は曳船(えいせん、タグボート)事業が主力の東京汽船で921.9万円。4位はプラント会社大手の千代田化工建設で920.3万円となった。ここまでは前回ランキングと同様の顔ぶれだ。

 今回新たに5位にランクインしたのは、アイ・パートナーズフィナンシャルで904.0万円。今年6月に株式上場した企業で、金融商品仲介業を軸とした独立系金融アドバイザー(IFA)による金融サービス事業を行っている。

 ランキングトップ10のうち、8社は神奈川県に本社を置く企業で、他県は電子ペン大手のワコム(埼玉県)が878.7万円で6位、小売り大手のイオン(千葉県)が829.7万円で10位となった。

 その他、大手では、日産自動車(12位、796.5万円)、キッコーマン(16位、777.0万円)などがランクインした。

 また、家電量販では、ヤマダホールディングス(193位、542.0万円)、ケーズホールディングス(150位、575.8万円)。ドラッグストアでは、マツモトキヨシホールディングス(38位、712.0万円)、ココカラファイン(99位、613.7万円)などとなった。なお、この2社は10月に経営統合し、共同持ち株会社のマツキヨココカラ&カンパニーを発足させている。

 今回、年収が750万円を超えた企業は24社。それらを業種別で見ると、最も多かったのが「電気機器」で6社だった。

 先述の1位のレーザーテックや6位のワコムをはじめ、アンリツ(13位、783.3万円)、QDレーザ(20位、769.2万円)、アルバック(21位、764.3万円)、メディアリンクス(24位、750.1万円)が名を連ねた。そのうち、ワコムを除く5社は神奈川県の企業だった。

 また、「電気機器」以外の業種では、「建設」4社、「卸売業」2社となった。

 さらに、年収が750万円を超えた24社を本社所在地の都道府県別に集計すると、神奈川県が20社、埼玉県と千葉県がそれぞれ2社となった。

(ダイヤモンド編集部 松本裕樹)