インタビューに答える小池百合子・東京都知事インタビューに答える小池百合子・東京都知事。 2024年1月4日撮影 写真:朝日新聞社/時事通信フォト

小池百合子東京都知事のカイロ大を卒業したかを巡る疑惑が再燃している。小池知事の元側近の告発は正しいのか、徹底検証する。(イトモス研究所所長 小倉健一)

一度もエジプトに行ったことはない
「完全にウソの話」

 小池百合子東京都知事のカイロ大を卒業したかを巡る疑惑が大きな話題となっている。月刊文藝春秋(5月号、文藝春秋デジタルでは4月9日掲載)は<「私は学歴詐称工作に加担してしまった」小池百合子都知事 元側近の爆弾告発>と題して、小池知事の元側近であり、元都民ファーストの会・事務総長で弁護士の小島敏郎氏の告発を掲載している。

 記事は「小池氏がカイロ大を卒業している」という言葉を信じた小島氏が、卒業証書をメディアに公開したものの、学歴詐称疑惑報道が止まらないことに困っていた小池知事のために、「カイロ大から声明文」を出してもらってはと助言したことを明らかにしている。そこで声明文案を作る際に中心的な役割を果たしたのが、小島氏が「小池さんのブレーンの一人」「私とも旧知の間柄」とする匿名の元ジャーナリスト「A」だ。

 まず、この小島氏の告発には、明確に事実と違う部分がある。

<その際、A氏はこんな話も荒木さん(※都民ファーストの会・前代表の荒木ちはる氏)から聞いています。小池知事の特別秘書の夫に、元新聞記者の方がいます。声明文が出る前、彼は小池さんの密命を受け、コロナ禍のなかカイロまで行ったというのです。何か工作でもしようと思ったのでしょうか。しかし、特段の成果もなく帰国。それで最終的に私やA氏にお鉢が回ってきたわけですが、荒木さんは、「何をしに行ったんだか」と、呆れた感じで言ったそうです>

 これは完全にウソの話である。匿名の元ジャーナリストAがまた聞きで聞いてきた話を、本人と特定できる形で書いてある。元新聞記者は知り合いなので、この記事を読んだ後に、電話をして事実確認をしたのだが、そもそも元新聞記者は、これまで一度もエジプト(カイロ)に行ったこともなければ、コロナ禍で海外へ行くこともなかったと筆者に証言している。

 さらには、月刊文藝春秋に告発記事が掲載された後に、週刊文春の記者から電話がかかってきたので、そのことを伝えてあるという。週刊文春の記者は、事実確認をして間違っていることが明らかになった後で、記事を消す処置を取らないのだろうか。