PTAの問題点は「強制参加」「ポイント制度」「ベルマーク集め」などの旧態依然とした仕組みや行事だけではない。各自治体のPTAが集まって結成する、実質的な上部組織(=P連)の運営体制にも課題が山積みである。多くの保護者や教職員はP連の存在すら知らないままお金を納めており、P連による資金の使い道はあまり表に出てこない。だが、実は「数千万円の使途不明金」が生じて問題になることも――。(ライター 大塚玲子)
PTAの実質的な「上部組織」
「P連」とは一体!?
春になりました。お子さんが小学校に入り、PTAとの関わりが始まった親御さんも多いでしょう。
強制参加の不条理さや、会費の使い道の不透明さなど、いろいろな課題が指摘されているPTAですが、本稿では一般的にはあまり知られていない問題点について解説します。それは「P連」の在り方についてです。
P連とは、自治体ごとに作られる、PTAのネットワーク組織のこと。「知らんわ」と思った方が多いと思うのですが、実は多くの保護者や教職員がPTAを通してP連にお金を納めています。みなさん無関係じゃないんですよ。
ちなみに、P連は「PTA連合会」の略称です――と言いたいところですが、実は自治体によって「PTA連絡協議会」「PTA協議会」など名称にわずかなバリエーションがあり、「P協」「連P」などと呼ばれることもあります。でもまあ、今回は便宜上「P連」という書き方で統一します。
ざっくり分類すると、P連の種類は3つ。市区町村単位でつくられるもの(市Pなど)と、都道府県単位でつくられるもの(県Pなど)と、全国組織の「公益社団法人日本PTA全国協議会」(略称「日P」)があり、これらがピラミッド構造をなしています。
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タテマエ上、P連はフラットな横のつながりであり、PTAの「上部組織」ではないということになっているのですが、実際は微妙です。P連の会長や役員さんのなかには、文部科学省や教育委員会の権威を自分たちのパワーと勘違いして、他の保護者に対して上からものを言ってしまう人もときどきいるからです。
そんな「勘違いさん」がいなかったとしても、P連には他にも考えるべき点がいろいろとあります。そのため、昨今はP連で「退会・解散・見直し」といった動きが少しずつ増えています。次ページ以降では、その具体例を解説していきます。