ジョー・バイデン米大統領 中国の習近平国家主席Photo:Alex Wong/gettyimages

【台北】米政府は中国に対して軍縮交渉を強く求めている。背景には、長らく核開発で出遅れていた中国がここにきて急速に核兵器の能力を増強していることがある。

 中国の習近平国家主席は今週、ジョー・バイデン米大統領とのバーチャル首脳会談で、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)が「戦略的安定」と呼ぶ議題について、協議を進めることに合意した。米当局者が明らかにした。

 だが、首脳会談に関する中国側の発表では、この点に関する言及はなかった。協議について説明を受けた中国当局者はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、米中は政府関係以外の国防アナリストや専門家らによる「トラック2」対話を開始する可能性があると明らかにした。

 米国防総省が策定した中国の軍事力に関する最新の年次分析では、中国はおよそ350発の核弾頭を有している。3750発を保有する米国と比べればまだわずかだが、国防総省は2020年代末までに中国の保有数は1000発に達するとの見方を示している。

 国防総省によると、中国は核弾頭が搭載可能なミサイルなどの軍装備についても同時に開発を着実に進めているという。中国が8月に実施した極超音速滑空体(HGV)実験により、米国のミサイル防衛システムによる探知を回避しようと、中国が新たな方策を探っていることが明らかになった。米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長はこれを「スプートニクの瞬間」と呼び、旧ソ連が世界初の人工衛星「スプートニク」の打ち上げに成功した際の衝撃に近いとの認識を示している。