米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は2019年末、次世代ピックアップトラックの「シボレーコロラド」と「GMCキャニオン」を生産するため、ミズーリ州ウェンツビル工場に10億ドル(約1150億円)を投じると発表した。それからわずか約1年後、GMは2035年までに乗用車をすべて電動化する目標を打ち上げた。こうした中、ウェンツビル工場に導入された新型機械の一部は廃棄物の山になりかねないとの懸念がアナリストの間で広がっている。米国が化石燃料からの脱却を目指す中で、こうして無価値となる資産は数兆ドル規模に上る見通しだ。英グラスゴーで今月開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、地球温暖化に歯止めをかけるため、200カ国近くが化石燃料の使用抑制で合意した。その結果、気温上昇による最悪の事態は免れると科学者は予想している。だが企業にとっては、その脱炭素の流れと気候変動そのものによって、数兆ドルの資産が無一文になるリスクが高まることにもなる。
気候変動対策で減損の嵐、巨額資産が無一文にも
気候変動対策に伴う評価損が新たな金融危機を招くリスクも浮上
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