供給不足は急に供給過剰に転じる可能性がある――。これはよく言われることだが、多くの米国人が物価高に苦しんでいるときにこの教訓を思い出すのは難しい。供給の目詰まりに旺盛な需要が重なり、あらゆるモノの値段が上昇したが、世界的なサプライチェーン(供給網)に依存する工業製品の値上がりは驚くほどだ。米労働省が発表した10月の消費者物価統計によれば、洗濯機と乾燥機の価格は新型コロナウイルスの世界的流行前と比べて30.1%上昇した。家具の価格は12%、新車・トラックの価格は11.3%それぞれ上昇した。さらに一部の工業製品の不足は他の業界で価格上昇を招いている。新車の不足でレンタカー会社の車両補充が難しくなったことが響いて、10月のレンタカー料金はコロナ前より49.2%も高かった。レンタカー会社の新車購入が減ったことで中古車の供給が減り、中古の自動車・トラックの価格は44%上昇した。
インフレ懸念は不要か 繰り返される教訓
深刻な供給不足が過剰生産を招き、最終的に価格下落につながる可能性があるのはよくあること
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