トルコの通貨危機は、同国経済の重大な弱みを明らかにした。それは、住宅を暖め、工場を稼働させ続けるためのエネルギーのほぼ全てを輸入に依存していることだ。トルコは、世界有数の化石燃料埋蔵量を誇る中東と中央アジアの国々に囲まれている。しかし国内では石油やガス、石炭の生産をほとんどしていない。トルコは国内で消費される石油の93%、ガスの99%を輸入している。このため、ドル建てのエネルギー価格が上昇し、同国通貨リラの相場が下落すれば、打撃を受ける。20カ国・地域(G20)と北大西洋条約機構(NATO)のメンバーであるトルコの経済は、これらの要因により痛手を受けている。指標となるブレント原油価格(ドル建て)は、今年に入って42%上昇している。新型コロナウイルスのオミクロン株の出現以降に原油相場が下落したにもかかわらず、トルコリラ下落の影響を加味すると、同国の石油価格の上昇幅は140%以上になる。インフレが加速しているのにトルコ中央銀行が9月に利下げを開始して以来、リラはその価値の3分の1以上を失った。
トルコの通貨危機、外国へのエネルギー依存露呈
エネルギーのほぼ全てを輸入に依存しているトルコのエネルギー事情は不安定だ
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