バイオテク株は昨年、新型コロナウイルスワクチンの開発期待を背景に急騰したが、今年に入ると一転して急落し、一部のヘッジファンドに大きな損失が出ている。

 バイオテク株が売られているのは、米議会が薬価の引き下げに動くと懸念されているためだ。また、新規株式公開(IPO)市場が好況に沸き、創業間もないバイオテク銘柄が飽和状態にあることも関係している。

 投資家らによると、バイオテク分野のヘッジファンドとして知られるパーセプティブ・アドバイザーズ(運用資産約90億ドル)は、旗艦ファンドの年初から11月までのリターンが約30%のマイナスに沈む。公開・非公開市場のヘルスケア企業に1800億ドル余り投じているオービメッド・パートナーズが運営するヘッジファンドは、同じ期間のリターンが40%超のマイナスとなった。同ファンドに詳しい複数の関係者が明らかにした。どちらのファンドも過去2年は大きなリターンを上げていた。

 サンフランシスコに本拠を置くロゴス・キャピタル(運用資産約14億ドル)の場合は、傘下ヘッジファンドの同じ期間のリターンが25%超のマイナスとなったと関係者らは話す。中小バイオテク企業への投資に特化しているコーモラント・アセット・マネジメントは11月だけで10%の損失を出した。同社はその前から年初来リターンが2桁のマイナスとなっていた。

 コーモラントの創設者であるビフア・チェン氏は「非常に厳しい年になっている」と述べた。

 バイオテク株の均等型指数であるSPDR・S&PバイオテクETF(上場投資信託)は、12月3日までの年初来リターンが約22%のマイナスで、2月8日のピークからは37%下げている。同ETFは11月25日の感謝祭以降の下落率が9%近い。S&P500種の全11業種の中で、年初来パフォーマンスが最も悪いのはバイオテクだ。同時期にS&P500種指数は21%近く上昇している。

 コンソナンス・キャピタルは10月、多額の損失が出たことを理由に10億ドル規模のヘッジファンドを閉鎖することを決めた。同社についてよく知る関係者らが明らかにした。広報担当者によると、コンソナンスはヘルスケア分野のプライベートエクイティ(PE)ファンドも運営しており、こちらはバイオテク株急落による影響を受けていない。

 一方で、バイオテクファンド運用会社の一部は楽観的だ。バイオテク株は見境なく売られているとの見方で、過去の下落局面ではその後に力強く反発したと指摘している。今後は、注目を集めている複数のコロナ治療薬が利用可能になったり、バリュエーションの低下によって2022年にM&A(合併・買収)件数が増えたりする可能性がある。

 SVBリーリンクは12月1日付の調査リポートで、米国と欧州の大手バイオ医薬品会社は、M&Aなどの活動に使える手元資金が22年末までに5000億ドル(約56兆4800億円)を超えると試算している。

 サンフランシスコに本拠を置くエコR1・キャピタルは、バイオテク投資家の中では珍しく、傘下ヘッジファンドの年初来リターンがプラスとなっている。事情に詳しい関係者らによると、エコR1などの企業は顧客から資金を集め、新たに割安株に投資している。

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