4月のエコノミスト予想によれば、現在のインフレ率は2.5%前後になっているはずだった。しかし実際には6%以上になっている。経済予想に関する寛大な基準を適用しても、これは異常に大きな誤算だ。これには、二通りの説明がなされている。需要が原因だと主張する人たちは、ジョー・バイデン米大統領と連邦準備制度理事会(FRB)による過剰な景気刺激策を要因に挙げている。供給に原因があると主張する人たちは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴うサプライチェーン(供給網)の障害が問題だとしている。実際には、需要も供給もそれだけが原因とは言えないことがはっきりしつつある。現在のインフレは、従来とは異なり、強い需要と供給障害の相互作用があって初めて可能になった事象だ。恐らく第二次世界大戦直後を除けば、米国でこうした状況が生じたのは初めてだ。バイデン政権の大統領経済諮問委員会(CEA)の認識によれば、大戦後には戦争の影響による供給不足と繰り延べ需要の相互作用が見られた。そうであれば解決策は難しくなる。供給障害の解消は総じて、米政府とFRBの対応能力の及ばない問題だ。しかし、需要だけが問題だとする対応は、経済に打撃を与える恐れがある。
米インフレ高進、従来モデル通用せず
需要と供給の異例の相互作用
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