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なぜ、今やNYは「起業家にフレンドリーな街」なのか? ニューヨークに根ざしたスタートアップ・アクセラレーター、ERAのディレクターに聞く

岡本彰彦 [Recruit Strategic Partners, Inc. 代表]
【第3回】 2012年12月11日
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MA そして、今回で僕らのイベントは52回目となる。この5年間、みんなが定期的にイベントに参加し続けてくれて、毎回150~200人が参加するようになった。2ヵ月前の50回目のイベントでは、約1000人もの人々がお祝いのパーティーに駆けつけてくれた。これらすべての始まりは、「さあ、ニューヨークのスタートアップを盛り上げよう」という考えからだったんだ。

Murat Aktihanoglu(左)はERAの設立者で、ディレクター。日本でソニーコンピュータエンタテインメントのコンサルタントをしていた経歴を持つ。右は筆者

 

テクノロジー・ユートピアな「シリコンバレー」
"マネタイズ"に直結する「ニューヨーク」

岡本 以前からシリコンバレーには、企業がお互いにつながり合うことで利益を生むエコシステムがあったが、なぜあなたはニューヨークにもそうしたものが必要だと考えているのか。マイケル(Michael Arrington)は、「ハリウッドがハリウッドにしかないように、シリコンバレーはシリコンバレーにしかない」と言っていたが……(第3回マイケル・アーリントンインタビューを参照)。

MA 答えは簡単だよ。僕は90年代にはシリコンバレーのシリコン・グラフィックスで働き、サンフランシスコに住んでいた。だけど、ニューヨークが好きなんだ。だから僕は、みんなに「シリコンバレーに住むべきだ」と言われながら1998年にニューヨークにやって来た。スタートアップもテクノロジーもエコシステムもシリコンバレーにあるけれど、僕はニューヨークが好きだからここに来たんだ。そして、同じようなエコシステムをここで始めたかったんだ。

岡本 起業家たちも皆ニューヨークが好きだからここで起業するのか?

MA そう。それに実はニューヨークは起業するのに非常に良い場所なんだよ。もしフォースクエアー*2がカリフォルニアのミルピタスやサンノゼで起業しても、人もいないしレストランやバーもないから、ビジネスにならないだろう?
*2  Foursquareは、レストランや美術館など、さまざまな「場所」に行ったことをソーシャルネットワークで共有するサービス。会員数2500万人を超えている。

 それに比べてマンハッタンは人口の密集した都市だ。またニューヨークには、出版やファッション、金融など多くの産業がある。だからもしシリコンバレーでメディアカンパニーを始めようとしても、結局はビジネスのために定期的にニューヨークに行かなければならないんだ。

 それに、ここで起業したスタートアップはこれからより成長していくだろうから、ニューヨークにとって大きなチャンスだと思っている。もちろんスタートアップはいずれ売却されるが、そうなったらその創設者たちが今度はニューヨークのエンジェルとして投資を始めるからね。

岡本 そしていずれは、シリコンバレーのようになる?

MA 僕らは現在、シリコンバレーから1、2世代遅れている。けれど、いずれニューヨークにも多くの投資家や成功した起業家や創業者たちのいるシリコンバレーのようになる。

 

米国のスタートアップ企業のデータを集めたデータベース、CrunchBaseに登録された地域別企業数の推移。ニューヨークは着実にスタートアップの数を伸ばしている(ニューヨーク以外はすべて、ベイエリア/シリコンバレーの地域)
出典:CrunchBaseを基に著者作成

 

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岡本彰彦
[Recruit Strategic Partners, Inc. 代表]

株式会社リクルートの投資会社であるリクルートストラテジックパートナーズの代表取締役として、コーポレートベンチャーキャピタルファンドを活用し、日本のみならず、北米、東南アジアをはじめとしたグローバルな投資·事業開発活動を推進する。現職就任以前は、銀行、ベンチャーキャピタル、証券会社などでストラクチャード·ファイナンスや新事業開発に従事した後、2007年にリクルートに入社し、主に同社住宅カンパニーにおける事業開発の責任者とブランドマネジャーを担当。

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