今年こそ投資で成功したい。では、どうすればいいのか? そこで今回はYouTube「両学長 リベラルアーツ大学」でも紹介された話題のベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』と、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏に緊急インタビュー。ニック氏は何を語ったのか? (取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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収入こそ富のおもな源泉
ニック・マジューリ(Nick Maggiulli)Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト
同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズなどに記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。著書に日本で20万部(全世界46万部)を突破した『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ダイヤモンド社)がある。
――『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』に「教育は株式や債券より優れた資産だ」(P153)とあり、衝撃を受けました。「富の階段」を登るうえで教育がどれほど重要か、日本の親世代の読者に向けてメッセージをお願いできますか。
ニック・マジューリ(以下、ニック) 教育が「富の階段」において非常に重要なのは、収入こそが富のおもな源泉だからです。
そして教育は、特にアメリカでは収入と強く相関しています。
日本でも同じような傾向があると聞いていますし、私が見たデータからもそれはほぼ間違いないと言えるでしょう。
ただし、ここで言う「教育」は、大学の学位だけを指すわけではありません。キャリアや収入につながる実用的なスキルを身につけることも含みます。
『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』で述べたように、収入と富は、個人金融の中で最も強い相関性を持つ要素です。
アメリカ、台湾、そして他国のデータを見てもどこでも同じで、収入が高い人ほど富も築いています。
つまり、富を増やしたいなら、まず収入を増やす必要があります。
では、どうやって収入を増やすのか?
それはスキルを身につけることであり、そのための最良の方法の1つが教育です。
形式的な教育かどうかにかかわらず、「学ぶこと」こそがカギなのです。
日本の親御さんへのアドバイス
――これから多くの人が自分で手を動かしたり学んだりすることなく、AIに頼って答えを得ようとするでしょう。その結果、物事を批判的に考える力が弱まりかねません。
ニック そのとおりです。
だからこそ、教育の価値はこれまで以上に高くなると私は思っています。
確かに今、いくつかの初級レベルの仕事は自動化されています。
しかし、長い時間をかけてしっかりと学び続けてきた人、知識を積み重ねてきた人は、AIだけに頼ることなく、AIを使いこなして、自分なりの答えを出すことができるようになり、その恩恵をより大きく享受することになるでしょう。
ただし、その学びは“親が学んでほしいこと”ではなく、“子ども自身が自然に興味を持つこと”に向いている必要があります。
だから親御さんには、「子どもが学ぶことを楽しめる方法」を見つけてほしいと思います。
「医者になってほしい」「弁護士になってほしい」という親の期待はある程度理解できますが、それが子どもの興味と合わない場合、無理に押しつけても長くは続きませんし、楽しめなければ、好きで続けている人には絶対に勝てません。
興味があれば、その分野に他の誰よりも長く関わり続け、結果として競争力を持つようになります。
私自身、個人金融(パーソナル・ファイナンス)が大好きです。
だから、この分野で私を“打ち負かせる”人はほとんどいないと思います。
それほど私はこのジャンルに圧倒的な時間を費やしてきました。
このジャンルでは誰とでも話しますし、これからも時間をかけることに苦ではありません。
私はこの分野の教育をすべて独学で身につけました。
正式な講義を取ったわけではありません。
大学で経済学を専攻したので多少関連性はありますが、それ以上に、自分で膨大な時間をかけて学んできました。
その積み重ねが、今の私の仕事に結びついていますし、これは子どもたちにも同じように表れるでしょう。
本当に好きなことなら、自然と時間を使う。
だからこそ、親御さんへのアドバイスとしては、
「子どもが心から好きだと思える学びを見つけさせてあげてください」
と言いたいです。
これから必要とされる「チカラ」とは?
――大学を卒業した人でさえ、AIに仕事が奪われるのではないかと心配し、大学で学ぶこと自体が今後意味をなさなくなるのではと不安に感じています。
ニック それは、あなたがどの分野にいるかにもよります。
確かに、一部の領域ではあまり関連がない場合もあるでしょう。
しかし私は、それでも広い視野で教育を受け、どのような収入機会が存在するのかを理解しておくことは非常に重要だと思っています。
たとえば、エントリーレベルのプログラマーで「多少コーディングができます」程度では、AIが多くの作業を代替できるようになった今、もう通用しません。
少なくとも初級レベルではそうです。
より高度で深い理解が必要な領域では、人間が問題を考え、より明確に思考する力が求められます。
だからこそ、教育を受け、経験を積み、その領域に深く入り込むことは長期的に見て大きな価値があるのです。
日本の読者に伝えたい最重要ポイント
――「学び続け、買い続けよ」ということですね。
日本の投資家があなたのアドバイスを2026年の投資戦略に活かすとしたら、「資産の1円たりともムダにせず買い続け、投資せよ」でしょうか?
ニック いいえ。そうは言いません。
余剰資金があるなら投資するのはいいことですが、すべてを市場に突っ込む必要はありません。
日本の読者に伝えたい最重要ポイントは、アメリカの読者に言うことと同じです。
投資よりもまず“キャリア”が大事だということです。
多くの人にとって、ポートフォリオよりも給与所得のほうが重要です。
特にキャリアの初期段階では、収入こそが富の土台だからです。
どんな国のデータを見ても、収入と資産の相関は非常に強い。
だからこそ、長期的に収入を伸ばすための行動――キャリア形成でも副業でも――そういった努力が、どんな投資戦略より大きな影響を持ちます。
もちろん、私は『JUST KEEP BUYING』の投資哲学を勧めます。
しかし、それが機能するのは「買い続けるための収入がある人」だけです。
収入がなければ投資はできません。
つまり、投資を成り立たせる“前提条件”として、まず「収入」が必要なのです。それだけは忘れないでください。
(本稿は『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)



